離婚の親権問題が大きく変わる!共同親権について
2024.08.31
2024年3月8日、離婚をしても子どもの親権を両親が共同で持つ「共同親権制度」が閣議決定されました。
早ければ2026年から始まる予定です。
今回は「共同親権制度」について詳しく紹介していきます。
・「親権」って何?
親権とは未成年の子どもに対する「財産管理権」と「身上監護権」を行う権利のことです。
そのうち財産管理権は、財産を管理したり財産に関する法律行為を代わって行う権利のことをいい、
身上監護権はこどもの身体的・精神的な成長のために監督及び教育をする権利のことをいいます。
親権は父母が婚姻状態の間は父母双方が親権を持ち、離婚した場合は父母どちらかが親権を持つか決めなければならず、
これが日本で現在採用されている「単独親権制度」です。
・「単独親権制度」のメリット・デメリットとは?
単独親権制度のメリットは親権者が1人のため、親権者同士で意見が割れて話し合いや合意をするといった問題がなく、
「安定した親権を行える」ということです。
反対にデメリットとしては、離婚後の親権者が全ての義務と権利を行使することから、
元配偶者との親子の関係を引き離すように面会や交流を制限したり、子どもの奪い合いが起きてしまう問題が多いことや、
子どもがどちらかの親を選ばなければならず一方の親から強制的に引き離されてしまうという精神的な負担があります。
また、日本では母親が親権を持つケースが8割以上です。
母親の場合子育てによりキャリアを築くことが難しく、父親よりも収入が低くなりやすいことや、
離婚後に父親からの養育費支払いが滞ることも多いことから、貧困となってしまう問題があります。
このように単独親権制度による一人親家庭は経済的な問題が進学先や就職に影響すること、
子どもの情緒不安定から非行に繋がることが多いこともデメリットとなります。
・「共同親権制度」のメリット、デメリットは?
共同親権制度のメリットは離婚の際の親権争いが防げることです。
また、離婚後も子どもは父母どちらのことも親権者として頼ることができ、精神的負担が減ると考えられます。
父母は離婚後も協力して子育てをするため、面会交流もスムーズに行うことが可能です。
また、共同親権制度に付随して養育費の支払いについても新たな制度が創設されることから、一人親家庭貧困問題の解消にも繋がります。
デメリットとしては、親権者同士で意見が割れた場合に話し合いを行うことが難しく、判断決定が遅くなってしまうことがあることです。
また、D Vや虐待などがある場合は裁判所の判断で単独親権となりますが、裁判所が適切に判断できるのかといった問題があります。
これらについては、今後のガイドラインに注目です。
・おわりに
今回は共同親権について紹介しました。海外では共同親権を採用している国が多く、日本もそれに追いつく形となります。一
人親家庭には障害のある児童を持つ親も多く、現在離婚が成立している場合も単独親権から共同親権へ変更申立てができることから、
福祉事業所で相談されることが増えるかもしれません。
今後のガイドラインや法改正情報にご注目ください。