介護と仕事の両立は難しい!介護離職問題について
2024.08.27
認知症の患者数は2030年に523万人にのぼると言われており、7人に1人が認知症患者になる計算です。
また、認知症の家族の介護によって、仕事を離職する人が増えると起こる経済的損失は1年間で9兆円と言われています。
今回はそんな介護離職問題についてまとめました。
・介護職の人材不足による在宅介護の必要性
介護業界の人材不足は以前から問題となっており、その原因としては賃金等の処遇面が仕事内容に対して十分な水準となっていないことや、
少子高齢化による介護サービスの需要に対して供給が不足していることが挙げられます。
そのため、介護施設への入居を希望した場合に施設が一杯で空きがなく、施設が空くまで在宅で介護をしなければならないといったケースや、
認定された介護度ではサービス量が足りず、家族も介護をしなければならないなどの理由から、
仕事と介護を両立することとなる「ビジネスケアラー」が増加しています。
・ビジネスケアラーから介護離職
「ビジネスケアラー」は休みなく介護を行うことから、疲労や精神的ストレスを抱えやすいこと、
またビジネスケアラーの年代は企業では管理職などの責任が重い仕事を抱えることから仕事と介護の両立負担も抱えやすく、
結果的に離職を選択するケースも多いです。
企業は優秀な管理職の人材を失い、新たな採用や育成をしなければならずこれらは企業にとってもデメリットとなります。
また、一度退職したビジネスケアラーが介護が落ち着いてから再就職しようとしても40代以降の再就職は厳しく、
経済的に困窮してしまう場合もあるようです。
・介護離職の防止策
これらの問題を防止するためにビジネスケアラーが介護と仕事を両立できるよう支援する様々な制度があります。
介護休業制度
怪我や病気、障害などにより「2週間以上の介護を必要とする家族」を介護するために取得できる休業制度です。
利用する場合、事業主に申請する必要があります。
介護休暇
要介護状態の家族の介護などの世話を行う場合、1年に5回まで取得できる休暇のことです。
降格・減給・賞与の削減対象にならないため、安心して取得できます。
所定外労働や時間外労働、深夜労働の制限
要介護状態の家族を介護する従業員から申し出があった場合、所定外労働や時間外労働、深夜労働を制限する制度です。
しかし、事業の妨げになる場合は会社は拒むことができます。
介護休業給付
上記の介護休業を取得して介護を行う労働者が受け取る給付金のことです。
雇用保険から支給されます。
両立支援等助成金
介護離職防止のために取り組みを行った中小企業事業主に支給される助成金です。
介護支援プランを策定し、申請することで介護休業時や制度利用時に最大36万円支給されます。
このような制度を社内で周知することや、利用しやすいように社内の風通しをよくするなど、企業側が環境を整えることで、
ビジネスケアラーにとって働きやすい職場になり、人材確保や離職率低下に繋がります。
・おわりに
この他にも在宅勤務や短時間勤務、フレックス制度を活用することも介護離職を防ぐ方法として効果的です。
また、これらは介護だけではなく育児にも活用できるため、40代〜だけでなく若い世代の定着率も期待できます。
優秀な人材の確保が長期的にできることは企業としてもメリットが多いですから、
積極的に利用できるよう環境を整えるといいかもしれませんね。